昨日は浜川(群馬)での関東大学対抗戦2試合と迷った末に、熊谷陸上競技場(埼玉)で行われたトップリーグ第7節の2試合、NTTコミュニケーションズvsトヨタ自動車、パナソニックvsコカ・コーラの取材に行きました。今日は第2試合、パナソニックvsコカ・コーラ戦の模様をお伝えします。
この試合で注目されたのは、トップリーグ通算98トライとしていたパナソニックWTBでゲームキャプテン(キャプテンのHO堀江翔太選手はケガのためメンバー外)の北川智規選手でした。トップリーグ史上2人目となる(達成者はキヤノンの小野澤宏時選手のみ)記念すべき100トライをホームゲームで達成できるか。前半6分、北川選手が右隅にいきなり先制トライを決めて通算トライを99としたことで、残りの74分間は100トライへの期待感がスタジアムに充満していたように感じました。
パナソニックがトライを重ねる中、北川選手にもたびたびボールが回ります。後半7分、SH田中史朗選手が決定的なチャンスを作り出し北川選手にラストパスを送りますが、あえなくノックオン。100トライ目は幻に終わりました。
試合は45-12でパナソニックがコカ・コーラに勝利し、勝ち点5を獲得。シーズン序盤に2敗し後がない状態が続いている中、徐々に追い上げ通算勝ち点24の4位という位置につけました。
試合後の記者会見で北川選手は
「100トライ(を決められず)すみませんでした!」と頭を下げて笑わせると、
「こいつがっついとるな、というぐらい(トライを獲りに)行きたかったです。フミ(田中選手)が自分で(トライに)行くんやと思っていたら、ワンテンポ遅れて(ノックオンになって)しまいました。(小声で)あいつ自分でいけたやろ(笑)」
と、痛恨のノックオンの瞬間を振り返りました。
隣に座るロビー・ディーンズ監督も、
「北川には素晴らしいリーダーシップを発揮してもらったが、100トライはまだ早かったようです」
とユーモラスに語ると、ベテラン選手たちの活躍について聞かれ、
「ここ数年で経験のある選手が抜けてしまって、新しい選手たちがチームに入ってきて、やっとここ2試合ぐらいで機能し始めているのかなと。そういった若い選手たちが成長の過程を見せてくれてチームとして一つになってきています。稲垣、翔太(堀江)、ソア(ホラニ龍シオアペラトゥー)、ユさん(劉)、西原、バンジー(バーンズ)、健太郎(児玉)、テビタ(ツポウ)、山田といったトップリーグを経験してきた選手たちがいない中でも、それを埋める選手が出てきたことは前向きにとらえています。誰がジャージを着てもパフォーマンスを発揮できてきていることは非常にいい状況です。なぜなら、こうしたベテラン選手たちに永遠に頼るわけにはいかないからです。でも(北川選手の肩をポンポンと叩きながら)彼にはあと2年ぐらいやってもらわないと(笑)」
世界的名将にそう評価された北川選手は、まんざらでもない笑顔でカメラ目線でVサイン(それとも「あと2年がんばります」のサイン? 笑)。
「でも仕事がなあ…」
と社員選手らしいボヤキで照れ隠ししていました。
若手選手の成長とベテラン選手の活躍。王者も世代交代が進んでいますが、北川選手のように経験値が高いリーダー格の選手の力はまだまだチームに必要と言えそうです。そして後半12分にPRらしからぬ剛脚を見せた川俣直樹選手の今季初トライも、そう感じさせてくれた瞬間でした。
一方、敗れたコカ・コーラでしたが、日本代表に招集されているSOティモシー・ラファエレ選手の安定したプレーが光っていました。左脚でのキックパス、プレースキックの精度も高く注目です。ラファエレ選手にエピソードについてはまた後日お伝えします。
<取材・文・写真/齋藤龍太郎(楕円銀河)>