8月18日(金)トップリーグが開幕し、全国各地で注目の試合が行われました。FB五郎丸歩選手のトップリーグ復帰戦となったトヨタ自動車vsヤマハ発動機(豊田スタジアム)がひときわ注目を集め、27871人というトップリーグ史上最多記録となる観客動員数となりましたが、ラグビー∞アンリミテッドは秩父宮ラグビー場での2試合、リコーvsNTTコミュニケーションズ、そして昨季2冠の王者サントリーvsキヤノンを取材してきました。主に後者を中心にお伝えします。
オーストラリア代表103キャップの生けるレジェンド、CTBマット・ギタウ選手を新戦力として迎えるなどさらに充実したサントリーは、昨季7位のキヤノンを相手に前半からゲームを支配します。
前半4分にサントリーHO中村駿太選手が先制トライを決め、その後試合は膠着しますが、28分にはオーストラリア代表111キャップのNO8ジョージ・スミス選手がトライ。35分には昨季のトライ王、WTB中鶴隆彰選手もトライを決め、2年連続のタイトルに向けて好発進します。前半、キヤノンはスコアできず、0-19とサントリーがリードしてハーフタイムを迎えました。
後半もサントリーの勢いは止まりません。4分、SO小野晃征選手がPGを決めて0-22とリードを広げると、14分にはCTB村田大志選手がトライ(0-27)。試合終了間際の36分にはWTB中鶴選手が2トライ目を決め(5-32)、キヤノンのトライを1つ(後半18分WTBハヴィリリチャードアファ選手のトライ)、5点におさえて勝ち点5(勝利の4点に加え3トライ差以上で付与されるボーナスポイント1)を獲得しました。
試合後の記者会見、キヤノンの今村友基ヘッドコーチ代行は敗因をこう語りました。
「前半を敵陣で戦うプランで臨んだのですが、立ち上がりの3分間で3つのペナルティが続き、シンビンも出て、そこからプランが崩れました」
そして、開幕直前のグラント・バシュフォード ヘッドコーチ突然の退任の影響については、
「チームみんなで気持ちを切り替えることができたし、プレシーズンもいいゲームができていたので、ヘッドコーチ交代の影響はありません」
と前を向きました。
キヤノンの副将・NO8植松宗之選手は、
「サントリーは、1人ひとりが状況に応じて、今何をすべきかきちんと知ってプレーしている印象でした。キヤノンもそういうラグビーを心がけていましたが、できなかった」
と唇を噛みました。
白星発進となったサントリーの沢木敬介監督は、
「今日の収穫は勝ったことだけです。この時期の試合は、ボールが滑るし、レフェリーもまた新しいシーズンでルール対応に戸惑うことがあるので、そうしたレフェリーにも対応しなければなりません。この1週間、様々な状況に対処できるように準備してきましたが、1つひとつのプレーにはみんな満足していません。去年のチームを超えられるように、これから1試合1試合、成長していきたいと思います」
と表情を緩めることなく今季への決意を語りました。
サントリーのSH流大キャプテンは、
「今日の試合のラグビーで、ファイナルの試合に勝てるかというと、勝てないでしょう。前半に、キヤノンが焦っているときに攻めるスペースがあったにもかかわらず、そのスペースを攻めることができませんでした。サントリーの『スペースを攻めるラグビー』をもっと磨いていきたいです」
と、やはり笑顔を見せずに反省点のみを語りました。
なお、第1試合のリコーvsNTTコミュニケーションズは、昨季6位vs5位と実力が拮抗した組み合わせだけに接戦となり、17-13でリコーが勝利。台風の目となる予感です。