日本代表vsオーストラリア代表「ワラビーズ」。そんな歴史的なビッグマッチのキックオフがいよいよ迫ってきました。
両者が正式なテストマッチと認めて対戦したのは過去わずか4度で、日本代表は4戦全敗。1975年の2試合は敵地(シドニーとブリスベン)で行われ、7-37、25-50。1987年の第1回ラグビーワールドカップでの対戦は23-42と大健闘したが、20年後の2007年、第6回大会では3-91と粉砕されました。なお、オーストラリアA代表とも4度対戦していますが、日本代表は1勝もできていません。
10月30日現在も世界ランキング3位(日本代表は11位)に君臨し、しかも10月21日は1位のニュージーランド代表に23-18と勝利するなど、その実力は世界トップです。日程が決まったばかりのラグビーワールドカップ2019・日本大会で複数のティア1チームとの対戦が控えている日本代表にとっては、腕を試す格好の機会と言えるでしょう。
さて、現在トップリーグでは数多くのオーストラリア代表経験者が活躍中です。FLジョージ・スミス選手、CTBマット・ギタウ選手(以上サントリー)、10月28日は世界選抜としても活躍したSOべリック・バーンズ選手(パナソニック)など枚挙に暇がありません。
そんな中でもひときわ輝きを放っている、代表活動を休止して日本でのプレーに専念しているFLデービッド・ポーコック選手(パナソニック)。そして代表116キャップを誇るユーティリティーBKアダム・アシュリークーパー選手(神戸製鋼)。近年のワラビーズのFWとBKを代表する両選手に、現在のオーストラリア代表について話を聞きました。
まずポーコック選手に、外からワラビーズを見る心境は? と尋ねると、
「ワラビーズはしっかりとフォローしながら(戦いぶりを)見ていますが、今年はオーストラリア代表にとって非常に厳しい年だったと思います。いろいろな変化がありました。ただ、その中でも若い選手たちがしっかり育ってきているので、いい印象を持って見ています。もちろんオーストラリア代表を応援することになりますが、自分の仲間たち(パナソニックのチームメイト)がジャパンでたくさんプレーするので、しっかり興味を持って観戦したいと思っています」(ポーコック選手)
と、パナソニックの仲間たちに思いを馳せつつワラビーズを応援すると、正直な心情を吐露しました。
続いて、今回の日本代表との対戦をどう見ているか、とアシュリークーパー選手に尋ねると、
「日本代表の試合はそこまで見ていないのですが、ワラビーズが日本代表のことをちゃんとリスペクトして準備しなければ、ワラビーズの望まない結果になると思います。日本はテストマッチだけでなく(スーパーラグビーの)サンウルブズでも数多くの国際マッチの経験を積んでいますから、日本代表もオーストラリア代表に対する準備をしっかりしてくるでしょう。全員にとって素晴らしいテストマッチになることを私も望んでいます」(アシュリークーパー選手)
と、世界屈指の強豪であっても相手を敬いながらいい準備をしなければ勝つことはできない、そう断言しました。実際、今回のワラビーズはメンバーだけ見ても必勝態勢であることがわかります。
続いて、オールブラックスを破るなど上昇傾向にある現在のワラビーズ、そのチームを率いるマイケル・チェイカHC(ヘッドコーチ)について。彼がどんな指導者か、そのしてそのラグビーの強みはどこにあるのか両選手に尋ねました。その答えにはある共通項がありました。
「人をマネジメントするのに非常に長けたコーチです。非常に賢くて、人の使い方が上手いですね」(ポーコック選手)
「(チェイカHCの強みは)パッション(情熱)です。その情熱による選手への影響の与え方が上手いですね」(アシュリークーパー選手)
選手の扱いやモチベータ―としての能力に長けている、そんなコーチだということです。今回の日本代表戦に向けても完璧なマネジメントで選手を最高の状態に持っていっていることでしょう。
最後に、あなたにとってワラビーズとはどんなチームか、どんな場所か、そんな質問を投げかけました。
「オーストラリア人としてラグビーをする以上ワラビーズでプレーするのが究極の目標ですし、究極の場所だと思っています。ただ、今もらっているブレイク(代表に参加しない日本でのプレー期間)は非常に楽しんでいますし、またオーストラリアに戻って再びワラビーズでプレーできるようにがんばるだけです」(ポーコック選手)
「プラウド(誇り)です」(アシュリークーパー選手)
究極。そして誇り。ワラビーズはそんなチームであると生ける伝説たちは断言しました。正真正銘、本気の世界トップチームに日本代表はどう対抗するのか。その答えは間もなく、ラグビーワールドカップ2019決勝の舞台である日産スタジアムで明かされます。
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【2017年11月4日(土)日本代表vsオーストラリア代表】
14時40分KO・日産スタジアム(神奈川県横浜市)
■日本代表メンバー
※先発315キャップ・23選手トータル378キャップ
1/稲垣啓太(パナソニック)16キャップ
2/堀江翔太(パナソニック)52キャップ
3/浅原拓真(東芝)8キャップ
4/姫野和樹(トヨタ自動車)0キャップ
5/ヘル ウヴェ(ヤマハ発動機)6キャップ
6/リーチ マイケル(東芝)50キャップ ◎キャプテン
7/布巻峻介(パナソニック)3キャップ
8/アマナキ・レレイ・マフィ(NTTコム)16キャップ
9/田中史朗(パナソニック)61キャップ
10/松田力也(パナソニック)9キャップ
11/野口竜司(東海大学4年)11キャップ
12/立川理道(クボタ)51キャップ
13/ラファエレ ティモシー(コカ・コーラ)5キャップ
14/レメキ ロマノ ラヴァ(ホンダ)2キャップ
15/松島幸太朗(サントリー)25キャップ
<リザーブ>
16/坂手淳史(パナソニック)8キャップ
17/山本幸輝(ヤマハ発動機)4キャップ
18/ヴァル アサエリ愛(パナソニック)0キャップ
19/ヴィンピー・ファンデルヴァルト(NTTドコモ)0キャップ
20/フェツアニ・ラウタイミ(トヨタ自動車)0キャップ
21/流大(サントリー)6キャップ
22/田村優(キヤノン)45キャップ
23/シオネ・テアウパ(クボタ)0キャップ
■オーストラリア代表メンバー
※先発640キャップ・23選手トータル861キャップ
1/スコット・シオ 39キャップ
2/タタフ・ポロタナウ 78キャップ
3/セコペ・ケプ 87キャップ
4/ロブ・シモンズ 78キャップ
5/アダム・コールマン 18キャップ
6/ネッド・ハニガン 9キャップ
7/マイケル・フーパー 75キャップ ◎キャプテン
8/ショーン・マクマホン 22キャップ
9/ニック・フィップス 58キャップ
10/リース・ホッジ 20キャップ
11/マリカ・コロイベッテ 4キャップ
12/サム・ケレヴィ 14キャップ
13/テヴィタ・クリンドラニ 54キャップ
14/ヘンリー・スパイト 17キャップ
15/カートリー・ビール 67キャップ
<リザーブ>
16/スティーブン・ムーア 125キャップ
17/トム・ロバートソン 15キャップ
18/アラン・アラアラトア 19キャップ
19/マット・フィリップ 0キャップ
20/ベン・マッカルマン 49キャップ
21/ロペティ・ティマニ 9キャップ
22/ジョー・パウエル 2キャップ
23/カーティス・ロナ 2キャップ
<取材・文・撮影/齋藤龍太郎(楕円銀河)>