シックス・ネーションズ2016第1節、イングランドvsフランスの解説を担当したサントリーサンゴリアス流大選手(左)と、元日本代表の大西将太郎さん。
日本の国内シーズンも1月で終わり、いつもより寂しい2月第1週を迎えたというラグビーファンの方々もきっと少なくないでしょう。もちろん開催中のワールドラグビーセブンズシリーズもありますし、サンウルブズにとって2シーズン目となるスーパーラグビーも間もなく開幕となりますが、その前に決して忘れてはならないのが伝統の欧州6カ国対抗戦、シックス・ネーションズです。
1882年から翌年にかけての第1回大会以来、135年もの長い歴史を誇る(ただし第二次世界大戦による中断期間あり)シックス・ネーションズ。2015年のラグビーワールドカップではホスト国でありながらプール戦敗退の憂き目にあったイングランドが、その後就任したエディー・ジョーンズHCのもと立て直しが図られ、昨年のシックス・ネーションズで5年ぶりの優勝、しかも13年ぶりのグランドスラム(全勝優勝)という偉業を成し遂げたのは記憶に新しいところです。
あれから1年、シックス・ネーションズはそのイングランドだけでなく、日本代表と昨年対戦したスコットランドとウェールズ、そして今年対戦するアイルランドとフランス、さらには伝統国に一矢報いたいイタリアを含めた6チームがしのぎを削るという意味でも、ますます見逃せない大会となりました。昨年ジャパンがほぼ対等に渡り合ったスコットランドやウェールズがアイルランドやフランスとどんな戦いを見せるのか、世界ランキング2位のイングランドがどこまで連勝記録を伸ばすのか(現在14)など、興味は尽きません。
そんなシックス・ネーションズを、昨年に続き今年もWOWOWが全15試合を生中継するということで、今回は2月4日(土)の開幕節2試合、スコットランドvsアイルランド、イングランドvsフランスの中継を行う都内のスタジオにお邪魔してきました。
この2試合はご覧のとおり……と言いつつ、これからご覧になる方もいらっしゃると思うので詳細な試合展開の記述は控えますが、いずれもどちらに勝利が転ぶかわからない大接戦でした。そしてラグビーのテストマッチの原点であるイングランド、スコットランドのホームスタジアムが醸し出す格式とファンの盛り上がりが、映像と音声を通じてではありますが強く感じられた素晴らしい試合でした。前回王者のイングランドはミスが目立ちましたが、それもフランスの猛烈な圧力ゆえでしょう。他の各国も特にイングランドに対しては目の色を変えて臨んでくるはずです。
さて、このイングランドvsフランスにゲストとして呼ばれたのは、1月にトップリーグと日本選手権の2冠を果たしたサントリーサンゴリアスのキャプテン・SHの流大(ながれ・ゆたか)選手でした。
あくまで現役選手として“ゲスト”での出演でしたが、大西将太郎さんとともに試合のポイントをダブル解説。こういう形で試合中継に関わるのは初めてだったそうで、中継終了後は「緊張しました…」と安堵の表情を見せていましたが、大西さんは「いやいや、素晴らしい。よくやっていましたよ」と太鼓判を押していました。
流選手はこの試合の前半、両チームのPGによる点の取り合いを、1月29日(日)の日本選手権決勝になぞらえながら解説していたのが印象的でした。イングランドもフランスも我慢しながら点を積み重ねる様は、確かにあのサントリーvsパナソニックを思い出させてくれた気がします(ちなみに大西さんは「あの試合は間違いなくインターナショナルレベルだった」と放送中に語っています)。ハーフタイム中に後半のポイントとして「ペナルティ」を挙げ、ディシプリンの重要性を指摘。初めてのゲスト解説とは思えない的確な発言が中継を引き締めていました。
なお、大西さんが挙げた後半のポイントは「2nd manレース」。ボールキャリアに対するフォロー、接点における2人目の入り、そこが勝負を分けるという指摘はまさにこの試合のポイントだったと言えるでしょう。
見ごたえのあったイングランドvsフランスは、2月6日(月)23時からWOWOWライブでリピート放送されます。これぞテストマッチ、というハイレベルな戦いと流選手、大西さんのダブル解説をあらためてぜひご堪能ください。
今後も毎節、スタジオからリポートをお届けする予定です。どうぞお楽しみに!
<取材・文・撮影/齋藤龍太郎(楕円銀河)>