世界を知るプレーヤーの発言は違います。印象深い言葉がいくつもありました。
さる12月10日(土)にトップリーグデビューを果たした、66キャップを誇る現役オーストラリア代表にして世界屈指のFLであるデービッド・ポーコック選手(パナソニック)。この日先発したHonda戦を終えた後、報道陣の囲み取材に応じました。
世界のFLの目にトップリーグはどのように映ったか。日本のラグビーをどう感じたか。そういった話にももちろん興味がありましたが、私が最後にぶつけたのは元ワラビーズ(オーストラリア代表)のHonda所属選手、ヒュー・マクメニマン選手(22キャップ)、ディグビー・イオアネ選手(35キャップ)と対戦した感想でした。その質問に対して笑顔とともに返ってきたのは、ラグビーのよさをあらためて感じさせてくれる題記の言葉でした。
──トップリーグで初めてプレーした感想は?
「非常に楽しかったです。BKが素晴らしいトライをいくつか獲ってくれて、(われわれ)FWがやるべき仕事をやって顔を上げたらBKが前を走ってコーナーに素晴らしいトライを決めてくれている、というのが一番うれしい理想的なラグビーですので。チームメイトも私のことをあたたかく迎えてくれましたし、本当によかったです」
──オーストラリアとの違いは?
「日本語でラインアウトのサインを覚えなければいけないのが一番の違いですね(笑)。基本的なストラクチャーなどはそれほど大きく変わらないので、あとはチームメイトの特徴をつかんでいきながら自分のプレーをよくしていきたいと思います」
──周りの選手の名前などはまだ把握していない?
「少しずつ覚えてきていて、何人かは顔も名前も覚えましたけど、もう何日かください。そうしたら覚えます(笑)」
──チームに合流してわずか2日で試合してみて、いかがでしたか?(12月8日にチームに合流し、12月10日のHonda戦でトップリーグデビュー)
「感触は非常によかったです。私の練習量をコントロールしてくれたこともあると思いますが、やはり試合に出て実際にプレーするのが慣れるためには一番いいと思っています」
──ファンの応援については?
「お客さんのサポートはすごく届いていました。試合が終わった後に応援に駆け付けてくれたファンのみなさんにサインをして回るのは特別なことですし、非常にいい文化だと思います」
──パナソニックでやりたいこと、成し遂げたいことは?
「一選手としては、フィールド上でいいパフォーマンスをしてチームに貢献したいということです。同時に、このチームには若くて優秀なバックローの選手たちがいるので、彼らと一緒に学びながら、教え合いながら、全員がさらにいいプレーヤーへと成長できるようにしていければと考えています」
──対戦したHondaにも元ワラビーズの選手が複数いました。
「かつて一緒にプレーしていたヒュー・マクメニマン、ディグビー・イオアネと対戦しましたが、(タックルで)肩を当て合いながらお互い体で会話していました」
体で会話する。最高のタックラーらしい言葉でした。ラグビーに限らずチームスポーツにおいては実際の会話もちろん重要ですが、体で会話する感覚というのはラグビー特有の感覚なのかもしれません。かつての同志たちとそんな“コミュニケーション”をとったというポーコック選手、本日のリコー戦でも先発します。
リコーにはオーストラリア代表経験者はいませんが、各国代表がずらりとそろっています。強烈なタックルやジャッカルで相手と“会話”する、そんな瞬間にぜひ注目したいところです。
そして、ポーコック選手もワラビーズの一員として出場するかもしれない日本代表対オーストラリア代表戦は、2017年11月4日(土)に国内で行われる予定です。まだ1年近く先の話ですが、今から楽しみなそのビッグマッチのことを想定しながら試合を見るのもおもしろいかもしれませんね。
【おしらせ】
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<取材・文・写真/齋藤龍太郎(楕円銀河)>