ラグビー日本代表が欧州遠征から帰国しました。私も取材を終えて、ウェールズ戦の大健闘、そしてフィジー戦の完敗、それぞれ意味合いの違う残念さを反芻しながら一足早く帰国していましたが、それでもこれらの敗戦は2019年に向けて前向きにとらえることができる負けであったと考えています。
なぜなら、今はまだ失敗することができるからです。むしろ、今の段階では失敗から学ぶことの方が多いのではないでしょうか。
某高視聴率ドラマは失敗しないのがウリだそうですが、成功の前には必ず失敗があります。ウェールズ戦は敗れはしたものの大成功例と言っていいでしょう。フィジー戦は失敗例と言わざるを得ませんが、「この相手にこういう戦い方をしては勝てない」ということを学んだという意味では意味ある失敗です。負けましたが、断じて「負」の失敗ではなく「正」の失敗。こうした経験を積み重ねて日本代表はステージを登っていくのだと、帰りの機内でひとり考えていました。
さて、個人的な考察を長々と失礼しました。そう考えれば振り返ることも苦にはならない26日のフィジー戦、試合の模様はたびたび触れてきましたが、今日は試合前と試合後の様子を写真とともにお伝えしていきたいと思います。

ヴァンヌの街の中心地にあるスタッド・ドゥ・ラ・ラビーヌ。7500人ものお客さんが詰めかけました。「ジャポン!」「フィジー!」の掛け声が交互に発せられていたところに中立国(それもラグビー愛あふれるフランスという国)開催のよさを感じていました。

担当レフリーは南アフリカのクレイグ・ジュベール氏。世界的には昨年のワールドカップでの誤審、しかし日本では同大会サモア戦を吹いたことでおなじみの名レフリー。右端は同じくトップレフリーのヤコ・ペイパー氏。

そのナドロ選手とNECでチームメイトだった日本代表SO田村優選手、試合後に笑顔で健闘を讃え合い抱擁。実は2011年入部の「同期」で、以後4シーズン一緒にプレーしていました。「これぞラグビー!」という瞬間です。
悔しいフィジー戦も、いざこうして振り返ると取材者やファンにとっては「いい」試合だったと思えてきます。日本代表としては内容の「よさ」はありませんでしたが(逆にフィジーのよさは前面に出ていました)、それでもラグビーが持つ「よさ」が出た試合だったと言えるでしょう。これらの写真から少しでもそれを感じていただけたとしたら幸いです。
<取材・文・写真/齋藤龍太郎(楕円銀河)>