欧州遠征の掉尾を飾る第4戦目、フィジー戦(26日)が迫ってきました。試合が行われるフランス・ヴァンヌに滞在中の日本代表の2人のキャプテン、HO堀江翔太選手、CTB立川理道選手にフィジー戦に向けた話を聞きました。なお、フィジー戦のゲームキャプテンは堀江選手が務めます。
──FWリーダー(堀江)、BKリーダー(立川)それぞれから見たフィジー戦のポイントは?
堀江「FWとしては、相手(フィジー)は大きいですし、セットも安定して強いと思うので、セットをどれだけ安定させるかということですね。プラスアルファとして、オフロード(パス)にも対応しなければいけません」
立川「個々の能力がすごく高いので、しっかりと組織で守れるようにということと、アタックについてはいま形になってきていると思うので、そこをしっかり継続しながらやっていきたいですし、あまり一人にならずチームとして戦っていきたいですね」
──以前の日本代表とはアプローチが変わっていますが、たとえばフィジーに対してはアンストラクチャー(型通りでない形)で攻めるなど、これまでとの違いはありますか?
堀江「どの試合もそうですけど、去年とはまったく違うラグビーをしているので、(フィジー戦もこれまでと)違う戦い方になると思います。向こうはセット(ピース)に自信があるんじゃないですかね。スクラムはもちろん、ラインアウトも身長が高いですし、そこらへんで崩してくるんじゃないかと。オフロード(パス)については(彼らにとって)勝手に身についているものだとも思うので(警戒しています)」
──今のアタックにやりがいを感じていますか?
立川「そうですね。自分たちは意図してアンストラクチャーに持っていきたいというか、アンストラクチャーなんですけどそれが自分たちの形という感じに持っていきたいです。そういう部分は向こう(フィジー)にはあまりないので、それで慌ててくれたらうれしいですし、そういう部分でいうとエディー・ジャパンの時とは全然違う戦い方になるんじゃないかと思います」
──チームとしてのリカバリー、メンタル面の状態は。
堀江「(フィジー戦が)4試合目で、(ウェールズ戦が)あんなビッグゲームだったので心配していたんですけどね。たしかに疲労が溜まっている選手はウェールズ戦の段階ではおったんですけど、この準備期間の1週間でコンディショニングが上がってきて、みんな疲れを見せたりという感じではないです。自分たちの仕事が明確になっている分、それだけを一生懸命やっているラグビーなので。ウェールズ戦とはまた違ったマイナーチェンジしたラグビーになると思うので、それも頭を切り替えないとできません。まったく同じやったら飽きたりすることもあるし(笑)、また楽しめるような、やりたいと思えるような戦術・戦略を立てると思うので、それがモチベーションにつながっていると思うんですよね」
──ウェールズ戦との違いとは。
堀江「(とくに)ディフェンスへの意識の持っていきかたが違うかなと。ウェールズ戦と同じようなイメージに持っていくと全然あかんかもしれないですし、アタックも違うイメージでやらないと通用しない。でもそこも切り替えやすいかなと思います。ウェールズとフィジーは結構違うので」
──BKのアタックも今までと違うものになる?
立川「そうですね。(フィジーは)ウェールズとはまったく違ったディフェンスをしてくると思いますし、相手にとっていい状況でボールを渡してしまうと強いランナーも多いので(危険です)。そういうところに気をつけながら、サインプレーも少しずつ変えながらやっていっているので、また違ったアタックの形を見せられると思います。今までのジャパンはフィジーにセットピースを軸に戦ってきたので、そこをまた少し変えてアンストラクチャーの中にストラクチャーを入れて戦いたい。BKとしては新たなチャレンジになります」
──ランキングは相手が10位、日本が11位ですが(2016年11月21日現在)。
堀江「(ランキングへの意識は)あると思いますよ。相手が1ランク上なので、ランキングを上げたいという思いはある。2019年(ラグビーワールドカップ日本大会)の(プール組分け)抽選もありますし、それは選手には言っていないですけど、それを考えている選手もいるので、勝たなあかんなという思いは強いと思います」
──フィジーとフランスでやるというのはどういう感覚ですか?
堀江「せっかく試合をするので、ヴァンヌの方々に楽しんでもらえるようなラグビーができたらいいなと思っています。『激しさ』という部分も忘れたくないですね。体格も(フィジーから)小さいと思われていると思うので、最初から負けずにどんどんどんどんコンタクトで勝負して、激しくいきたいと思います」
立川「なかなかこういう経験はできないと思いますし、ワールドカップのように他の国どうしで戦うというのはすごくいい機会だと思っています。それを若いメンバーが今回経験できれば、今後に向けてのリハーサルにもなるしいい経験になると思うので、すごくポジティブに捉えています」
新しい日本代表の形が見えたウェールズ戦とはまた違った戦い方を見せると意気込む両キャプテン。そんな戦い方のイメージをピッチで具現化できれば、“フィジアン・マジック”を封じ込むことができるでしょう。日本時間26日(土)23時10分(現地時間15時10分)のキックオフから、彼らの有言実行ぶりをしかと見届けましょう。
<取材・文・写真/齋藤龍太郎(楕円銀河)>