【選手が語るウェールズ戦①】勝ったジョージア戦よりもいい試合だった──WTB山田章仁

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さて、今日も11月19日のウェールズ戦(ウェールズ33−30日本)を、試合後の選手のコメントとともにあたらめて振り返りたいと思います。

 

前半37分、相手のパスの乱れからこぼれたボールを奪い、自陣から60メートルを独走しチーム初トライを挙げた日本代表WTB山田章仁選手。らしさが前面に出た鮮やかなトライでしたが、試合後の囲み取材で「このウェールズ戦をどう受け止めているか」という質問に対してこう答えてくれました。

 

「いい経験になったと思います。極端なことを言うとまだワールドカップではないので、“負けてもいい”というのは言い過ぎですが、負け方とか勝ち方で見るとこの前のジョージア戦よりはいい試合だったと思います」

 

負けはしたものの、勝ったジョージア戦よりも価値がある──。誤解のないように強調しておくと、山田選手はもちろん負けたことをよしとしているわけではありません。囲み取材の最後には「いやあ…勝ちたかったですね」と悔しそうに本音を漏らしていました。それでも試合内容はウェールズ戦の方がよかったと断言しています。その根拠はどこにあるのでしょうか。山田選手は続けて語りました。

 

「僕のトライはみんながディフェンスでプレッシャーをかけていた結果でしたし、BKとしてもアタックでいい形でトライが取れていたので、練習の成果が出ていますね。ディフェンスがすごく成長したのはFWやミッドフフィールドの選手たちで、ロマノ(WTBレメキ ロマノ ラヴァ選手)の(ジョージア戦での)インターセプトもそうですけど、内側の選手がよくディフェンスを理解して遂行しているところが大きいと思います」

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つまり、あのトライは山田選手の判断力や個人技だけでなく、チーム全体がディフェンスからプレッシャーをかけ続けたことでウェールズのパスが乱れ、ボールがこぼれ、トライにつながったというわけです。

 

では、その「練習の成果」とは。

 

「(コーチ陣が)非常にポジティブに戦術を落とし込んでくれていますBKは特にブラウニー(トニー・ブラウン コーチ)です。『日本のみんなも上手いんだぞ』、『僕らにもいろいろなスキルがあるぞ、使えるぞ』と自信をつけさせてくれて、9(SH)・10(SO)・12(インサイドCTB)と真ん中のコントロールする選手がすごく自信を持ってプレーできているのが大きいですね。自分たちが持っているスキルを100パーセント出せる環境に置いてくれている。本当にコーチのおかげです

 

日本でも三洋電機で活躍した元オールブラックス、おなじみトニー・ブラウン コーチ。彼がいかに上手く戦術を立て、それを練習で選手に落とし込み、選手がそれを飲み込んで発揮しているかがわかるコメントでした。もちろんFWも含めた相手へのプレッシャーが大前提なので、ウェールズ戦の結果は一部のコーチや選手のみならずコーチ全員の指導、選手全員のハイパフォーマンスの賜物と言えるのではないでしょうか。

 

最後に、約74000人の大観衆の前でプレーした感想を聞かれ、

 

EXILEさんの気持ちがわかりました(笑)。コンサートに行ってすごいな、うらやましいなと思ったので。スポーツ選手もアーティストもお客さんが第一ですし、人生でこんなに大きなスタジアムでできることはあるかないか、あっても何回かだと思うので、本当に幸せでしたね」

 

といかにも山田選手らしい発言が飛び出しました。WTBとしてファンを魅了する高いパフォーマンスを、フィジー戦(11月26日/仏・ヴァンヌ)でもその先も必ずや見せてくれることでしょう。

 

<取材・文・写真/齋藤龍太郎(楕円銀河)>

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