ジェイミー・ジャパン。ジョセフ・ジャパン。いや、ジェイミー・ジョセフ・ジャパンですから「JJJ」=トリプル・ジェイと呼びましょうか!(という愛称を、今年2月に発売した紙版『ラグビー∞アンリミテッド』創刊号で用いたのですが、反響は今ひとつでした…)昨日、その第一歩を踏み出した新生日本代表は今日も東京・辰巳で練習を行い、短いながらも実りのある2日間の合宿を締めくくりました。
練習開始は予定よりも早まり9時45分…のはずが、渋滞のせいかチームバスの到着は10時過ぎに。そこから予定していた1時間半よりも少し長く、昨日と同じく2時間ほどの練習が行われました。やはりアタックを中心としたメニューで、FWもセットプレーはラインアウトのスローとキャッチを簡単に合わせるのみ。しかしBKと一体となってのアタックの確認はかなり見ごたえがあり、シーズン中で強度を落としているとはいえ、やはり体やスキルが仕上がっているからか、結成2日目(集合からは3日目)のチームとは思えないほど息ぴったり。ハイランダーズでも行われていたというレクリエーション風のミニゲームは、なかなか要領を得ない選手に田中史朗選手が指導したりと、コーチ陣の始動を補完する活躍ぶり。田中選手の役割の変化を垣間見た瞬間でした。
練習後、選手からもたくさんコメントをもらいましたが、今日はやはりジョセフ新HCの言葉を紹介しましょう。エディー・ジョーンズ前HCとは全くタイプが違いますが、言葉に力があるのは同じ。示唆に富んだコメントばかりです。まずはテレビ局とのやりとりから。
──最終日の2日目を終えて、手応えはいかがでしょう。
ジェイミー とても成功裏に終わったキャンプだったと思います。15名の新しい(ノンキャップの)選手が参加しましたが、日本ラグビーを率いるにあたって私自身も非常にわくわくした気持ちでキャンプを迎えました。選手たちの姿勢、取り組み方も非常によかったと思います。トップリーグのシーズン中ということで、練習の強度をそこまで上げられなかった面はありますが、11月のアルゼンチン戦と遠征に向けて準備を進めていきます。
──エディー・ジャパンは「JAPAN WAY」を標榜しましたが、ジェイミー・ジョセフHCが目指すのは一言で言うならどんなチームですか?
ジェイミー まだキャッチフレーズを発表するような段階にはありませんが、スキルセットやゲームプランの準備をしているところです。(少なくとも言えるのは)「スピード」という言葉は必要になるかもしれません。ただ、今はみなさんに発表することはできません。
──ハイランダーズでやってきたラグビーを取り入れるのでしょうか?
ジェイミー ハイランダーズの特徴であるランやキッキングゲーム、賢くスマートなラグビー、そのいくつかを日本代表でも取り入れていきたいと考えています。スマートに、よい判断をし、規律を守ること。そしてチーム文化を築き、環境も整えていきたいですね。同時に、今日の練習冒頭のように楽しい要素も練習に取り入れて、選手がわくわくして練習に取り組めるような環境を作っていきたいと考えています。
続いてペン記者との質疑応答です。
──最初の合宿を終えて。
ジェイミー とにかく選手に会えてよかったです。初めて選出されてわくわく参加している選手と一緒に練習できてよかったと思っています。コーチとして選手一人ひとりから見出すものがあります。今回のポジティブな要素は、新しい選手を選出して選手に対しても信頼を与えるということです。昨日、代表経験者とミーティングして、どういうチームにしていくか、どうリードしていくかという話し合いをしました。そこで出た意見を実施していければいいチームになっていくと思います。
──選手によると「話を聞いてくれる指導者」ということですが、そこはハイランダーズでも同じだったんでしょうか。
ジェイミー はい。選手の話を聞くことで、こちらもコーチとして学ぶことがあります。コーチがプレーするわけではなく選手がプレーするのですから、我々が選手の気持ちや考え方を理解しなければ私がコーチとしての仕事を全うできるはずはありません。ただ、私はコーチですので責任があります。大事なのはそれぞれが役割というものを持っていることを理解することです。私の役割は重大な決断やセレクションをすることです。経験豊富な選手からは今後もいろいろな意見を聞いて取り入れていきたいと考えています。
──どんな意見が出たのでしょうか。
ジェイミー こちらからいくつかシンプルな質問を選手に投げかけました。たとえば「リーダーとしてチームメイトにどのように受け止められたいか」、「メディアやファンからどのように見られたいか」といった質問です。選手には、自分がどのような態度や言動で表現していくのかを考えさせるために、そのような質問をしました。これはとても前向きな質問です。彼らからとてもいい回答をもらいました。彼らがそれを実行していくことを願っています。
──「とてもいい回答」とは。
ジェイミー 代表選手から返ってくるべき期待どおりの回答を得られました。もちろん「チームメイトのいい見本でありたい」という答えも含まれています。若手の選手たちがチームに溶け込んで、チームと一緒にいても不安がないようにしていく役目もあります。もちろんプライドと情熱をもって取り組んでもらうことも大事です。代表経験者のシニア選手からそういう答えが出て、コーチとしてとても安堵しました。
──リーダーグループは何人?
ジェイミー 7人です。私は含まれません(笑)。
エディー・ジャパンではコーチから選手への指示・命令が多い印象がありましたが、ジョセフHCは選手の話を聞き理解することをコーチングの大前提にしているということです。現在のメンバー、特に7人のリーダーグループとの間で具体的にどのような話し合いがなされたのか。今日のところは明かされませんでしたが、いずれジョセフHCかリーダーの選手から明かされるでしょう。
「JJJ」の2回目の合宿は10月23日(日)から3日間(ただし23日はトップリーグの開催日なので、この日は集合日で24日・25日が練習日となることが予想されます)。それまでには新キャプテンが決まり、チームとしての結束と強化を加速していくことになります!
<取材・文・写真/齋藤龍太郎(楕円銀河)>