写真は早稲田大学の10番を背負うSO岸岡智樹選手のキックパスの瞬間。SH齋藤直人選手との「1年生ハーフ団」がゲームをコントロールし、終始優位な展開に持ち込んで強豪・筑波大学との対戦を制しました。
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今日は夏のような陽気の中、関東大学対抗戦、早稲田vs筑波戦の取材で秩父宮で。3日連続で秩父宮に通った方も多かったのではないでしょうか?
さて、そちらをお伝えする前に…。そのハーフタイムを迎えたころ衝撃的な速報が飛び込んできました! トップリーグ再昇格1年目の宗像サニックスが昨季準優勝の東芝を31-21で撃破したのです! リーグ内最大級のアップセットはいかにして起きたのか…まだ映像で確認できておらずなんとも言えません。が、その衝撃を近日中に録画視聴したいと思います。
さて、早稲田vs筑波戦の話題に戻りましょう。スタメンにはセンターラインを中心に5人、リザーブに2人の1年生選手を配した早稲田。山下大悟新監督の采配が的中するか、同じく1年生を数多く投入したライバル筑波が強さを見せるか、この秋(といっても10月とは思えない暑さでしたが)屈指の注目カードとなりました。
(早稲田の1年生SH齋藤直人選手。アグレッシブなプレーで試合の主役の一人となりました)
試合は序盤から早稲田が優位に試合を進めます。その中心にいたのは冒頭でも触れた1年生ハーフ団、SH齋藤選手・SO岸岡選手だったわけですが、ポジションを問わずタックルやブレイクダウンで、そしてFWはセットプレーでも優位に立っていました。前半6分のWTB桑山聖生選手のトライ、14分のPR千葉太一選手のトライはまさにその証左でしょう。
さらにハーフ団の冷静なプレー選択も光り、32分にはSO岸岡選手のキックパスからFL加藤広人選手のトライが、35分にはSH齋藤選手のグラバーキックからFB梅津友喜選手のトライがそれぞれ生まれます。これらも試合を象徴するシーンでした。前半だけで4トライ2ゴールを決めた早稲田が筑波を24-0でリードし、ハーフタイムを迎えました。
(前半32分、早稲田FL加藤広人選手のトライ。ケガで後半早々退きますが攻守に大活躍でした)
後半は筑波が持ち前のフィジカルの強さ、組織力の高さを発揮。8分にはSO山田英貴選手がトライとゴールを決め、反撃ののろしを上げます。19〜20分のアタックは最後のキックパスが通らず得点につながらずに終わりますが、24分には敵陣5メートルラインからのラインアウトモールでHO大西訓平選手がトライを決め、この時点のスコアは24-12。どう転ぶかわからない点差まで筑波が迫ります。
しかし直後から早稲田が再び猛攻を見せます。30分のWTB桑山選手のこの日2本目となるトライを含め3トライ3ゴール、そして1PGを追加して、最終スコアは46-12。早稲田がシーズン序盤の最大のターゲット、筑波に快勝しました。
試合後の会見で、敗れた筑波の古川拓生監督は「前半の入り(の悪さ)が一番大きかった。セットプレーが強いのはわかっていたが、ラインアウトに少し迷いがあった」とセットプレーで劣勢に回ったことを敗因のひとつに挙げつつ、「早稲田の1年生ハーフ団の冷静な判断に対応しきれなかった」と若い9番・10番の働きにやられてしまったことを認めました。
勝った早稲田の山下大悟新監督は「ここ数年、ディフェンスとブレイクダウンで筑波に負けていた。昨年も接点で完敗だった。今日はブレイクダウンで早稲田が上回った」と大きな手応えを感じていました。LO桑野詠真主将も「ラグビーの王道であるブレイクダウンで、そしてディフェンスとスクラムでしっかり勝つことができた」と口を揃え、ピッチでも確かな手応えがあったことを強調。続いて、1年生ハーフ団について山下監督は「予定通りやってくれた。ゲームプラン通り」と活躍を讃え、1年生の多さについては「全員体造りしてきたのはもちろんだが、度胸があり堂々としている。そういう選手を選ぶ。ネガティブなものが身についていないところがいい」と起用の理由、基準を語りました。
経験値の高い選手が重宝される一方で、経験が少なくても度胸のある1年生をどんどん起用する。そんな山下監督の方針が見事に当たった試合となりました。完敗した筑波がどう立て直すかも含め、今後の戦いに注目です!
なお、第1試合の慶應義塾vs成蹊は13トライを畳み掛けた慶應が85-7で圧勝。こちらもこれからの戦いぶりから目が離せません。
<取材・文・写真/齋藤龍太郎(楕円銀河)>