9月21日(土)、「アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ2024」はいよいよファイナルシリーズ・決勝を迎えた。準決勝でサモアに快勝した日本代表は、プールA1位通過後準決勝でアメリカを下したフィジーと対戦。今大会唯一の世界ランキング10位以内(10位)との勝負となった。決勝の舞台となった東大阪市花園ラグビー場(大阪)では14,437人のファンが優勝の行方を見守った。
先制したのは日本代表だ。前半7分、FB李承信がPGを決めて0-3とする。10分にはフィジーSOケレブ・マンツにPGを決められ3-3の同点にされたものの、20分、日本代表は自陣ハーフウェイライン付近のマイボールスクラムからSH藤原忍、SO立川理道キャプテンとつなぎ、立川のパスを受けたCTBディラン・ライリーがランとステップで鮮やかに相手をかわして大きく前進。さらに前方へショートパントを放つと自らそのボールに追いつき、スピードを落とすことなくトライ。テストマッチ5試合連続トライを決めて、FB李のゴールも決まり3-10と勝ち越しに成功する。

リードした状態で試合を折り返したかった日本代表だが、32分にフィジーに初トライを許し、10-10に。しかし昨年のラグビーW杯で8強入りを果たし、そのメンバーを多く揃えた強豪を相手にスコアどおりの互角の勝負を演じて、同点のまま前半終了を迎える。
後半も拮抗した攻防が期待されたが、前半38分に日本代表HO原田衛が危険なプレーでシンビンになっていた影響もあり、残り40分はフィジーの意のままの展開となる。まずは16分、SOマンツにPGを決められると(13-10)、19分、27分、30分、35分と4連続トライを許し、スコアは41-10と前半とは打って変わって一方的な試合になる。
それでもいい形で試合を締めたい日本代表は38分、自陣でのマイボールスクラムから仕掛け、ラストパスを受けたWTBマロ・ツイタマが約50mを独走して一矢報いるトライ。41-17とする。最終的にはこのスコアのまま日本代表は敗れ、準優勝。フィジーが今大会を制した。

試合後の記者会見で日本代表エディー・ジョーンズHCは悔しさをにじませながらコメントした。
「ジャパンとしてはエフォート(努力)はよかったと思いますが、ハードワークをもっと長い時間続ける必要がありました。その点ではまだまだ(求めている)レベルには達していません。やはりまだ我々の実力は不足しています。ただ、これを続けていくことで2027年(W杯オーストラリア大会)までには(世界レベルに)到達できると考えています。試合は我々の現状を確認する機会になります」
掲げる「超速ラグビー」の成熟、完成にはまだまだ時間がかかる。しかしその方向性、成長曲線は間違っていない。指揮官も選手もそう信じながら日本代表は研鑽し続け、10月26日(土)のニュージーランド戦、そして11月の欧州遠征に向けて引き続き準備を進めていく。
取材・文・写真撮影/齋藤龍太郎(楕円銀河)