9月15日(日)、「アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ2024」はファイナルシリーズに突入。プールBを首位で通過した日本代表は準決勝に進出し、プールA2位のサモアと対戦した。23年W杯以来約1年ぶりとなる注目の対戦を見に、秩父宮ラグビー場(東京)には14,893人のファンが集い、日本代表のプール戦に続いての快勝への期待を込めて声援を送った。
その日本代表はSO立川理道キャプテンが今大会初先発となり、クボタスピアーズ船橋・東京ベイのチームメイト、SH藤原忍とハーフ団を組み、これまでSOとして活躍してきた李承信はFBで先発。「超速ラグビー」の中心的役割の担い手を変えて、大事な準決勝に臨んだ。
先制したのは日本代表だった。前半6分、敵陣で相手ボールのラインアウトをLOワーナー・ディアンズがスティール。それを起点にフェーズを重ねると、FB李が蹴ったグラバーキックをCTBディラン・ライリーが拾い上げ、トライ。テストマッチ4試合連続トライを決めて、まずはスコアを7-0とする。10分にはサモアWTBエリザペタ・アロフィポのデリバレートノックオン(シンビン)でペナルティトライが認められ、14-0とさらにリードを広げる。
13分には相手に1トライを許し14-7とされた日本代表は、直後の16分にWTB長田智希がトライ。FB李のゴールも成功し21-7と再び14点差をつける。25分と29分にはサモアSOロドニー・アイオナのPGで21-13と点差を縮められるが、前半終了間際の39分、日本代表は敵陣ゴール前のアタックから、右大外に回り込んだFB李がラストパスを受けてインゴールへ。前半4トライ目を決めてスコアを28-13とし、試合を折り返す。
後半の入りも日本代表の時間帯となる。開始早々の4分、自陣からFB李が相手ディフェンス裏へのグラバーキックで仕掛けると、追いついたWTB長田からFB李、そしてFL下川甲嗣へとパスをつなぎ、そのまま下川が走り切ってトライ。35-13とサモアを突き放す。
12分には相手に2トライ目を許し35-20とされた日本代表だったが、18分、再び日本代表が敵陣深い位置まで攻め込み、SH藤原忍がFWを使いながらゴール前でチャンスをうかがうと、最後は自らインゴールへ。42-20と再びリードを広げる。
終盤の32分にはサモアに3トライ目を決められ42-27とされるが、試合終了間際の39分、日本代表は敵陣5mライン上のマイボールスクラムを起点に仕掛け、パスを受けたFB高橋汰地が相手を振り切り締めのトライ。49-27で日本代表がサモアを下し、決勝へ駒を進めた。マン・オブ・ザ・マッチはトライにつながるプレーの連発に加え自らもトライを決めたFB李承信が受賞した。
日本代表エディ―・ジョーンズ ヘッドコーチは、
「これまで対戦したカナダ、アメリカよりもサモアは格上のチームで、我々としてはステップアップが見られた一戦だったと思っています。試合の序盤は向かい風の厳しいコンディションの中とてもいい形でスタートでき、好ましいプレーができていました。(決勝の相手)フィジーと対戦するにあたっての課題はディフェンスです。よりよい準備をして臨みたいと思います」
と課題を挙げつつ、決勝を見据える発言に終始した。
パシフィックネーションズカップを制し、弾みをつけることができるか。日本代表の戦いは続く。
取材・文・写真撮影/齋藤龍太郎(楕円銀河)