6月29日(土)、東京・秩父宮ラグビー場で「リポビタンDチャレンジカップ2024」、JAPAN XV対マオリ・オールブラックスの一戦が行われた。「マオリ・オールブラックス」はニュージーランドの先住民マオリ族の血を引く選手によって構成されたチームで、国代表ではないもののそれに準ずる実力者が揃っている。
日本代表のメンバーによって構成されるJAPAN XVは、先発HO原田衛とリザーブのSH齋藤直人を共同キャプテンに据えるなど、6月22日のイングランド戦とは異なる布陣でこの一戦に臨んだ。
前半6分、そのHO原田が先陣を切る。JAPAN XVは敵陣深い位置でのマイボールラインアウトからモールで押し込み、その後のラックからボールをピックしたHO原田が先制トライ(TMOの結果トライが認められる)。JAPAN XVが5-0と幸先よく先行する。
しかしその後、マオリ・オールブラックスが9分、28分、36分とトライを重ね、5-17とされたところで前半終了を迎える。JAPAN XVは大学生FB矢崎由高がビッグゲインするなど見せ場を作ったが、WTBヴィリアメ・ツイドラキが相手のタックルでトライを阻まれるなど、チャンスを活かせないファーストハーフとなった。
後半もマオリ・オールブラックスはチャンスをものにし続ける。開始早々の3分にトライを許すと、21分、29分にCTBラメカ・ポイヒピに連続トライを決められ、スコアは5-36となる。
ホームの秩父宮でこのまま終われないJAPAN XVは最後に一矢報いる。ホーンが鳴る直前の後半39分、敵陣でのマイボールラインアウトからモールを組んで前進し、インゴール目前まで迫ったところでラックからSH齋藤直人が左大外へ飛ばしパス。WTB根塚洸雅がそのパスを受けてトライを決め切り、イングランド戦に続く2戦連続トライで存在感を示した。
スコアは10-36となり、そのままフルタイムの瞬間を迎えた。JAPAN XVはFWがスクラムやモールで互角以上の強さを見せ、BKもFB矢崎をはじめ随所で「超速ラグビー」の片鱗を見せたものの、数多く作ったチャンスを活かせず完敗となった。
試合後、エディー・ジョーンズHCはこのようにコメントした。
「選手たちと先ほど『今どんな気持ちか』をディスカッションしたばかりです。選手からは『フラストレーションがたまっている』とか『悔しい』といった言葉が挙がりましたが、最終的には我々の力が及ばなかった、ということだと考えています。
我々は敵陣22mラインに11回入ることができました。マオリ・オールブラックスは我々の22mラインに7回しか入っていないにも関わらず全てのチャンスを生かしてポイントにつなげたところが勝負を分けたと思っています。
非常に学ぶことが多い試合でしたが、我々としてはアタックが非常にうまくいっていたシーンもありましたし、自分たちがやりたいスタイルのプレーができていました。アタックでチャンスをたくさん作れてはいたのですが、トライに至らなかったことが大きなポイントです。
とても誇りに思っていると同時に、とても悔しく残念ですし、心から怒りを感じています。今後はトレーニングの効率を追求し、時間とともに徐々に改善されていくと信じています」
JAPAN XVは7月6日(土)にマオリ・オールブラックスと再戦。愛知・豊田スタジアムで1戦目の反省を糧に勝利を目指す。
取材・文・写真撮影/齋藤龍太郎(楕円銀河)