日本代表、フィジーに12-35と完敗するも終盤の2トライで一矢報いる

7月から行われてきた「リポビタンD チャレンジカップ2023 パシフィックネーションズシリーズ」は8月5日(土)に第3戦を迎え、日本代表は東京・秩父宮ラグビー場でフィジー代表と対戦した。

ここまでサモアに敗れ、トンガに勝ち、シリーズ1勝1敗。日本代表はFLピーター・ラブスカフニら今年初出場の選手を織り交ぜ、パシフィックネーションズシリーズの勝ち越しとワールドカップ前の国内最終戦での勝利を目指した。

国歌斉唱の後、ウォークライ「ジンビ」を披露したフィジー代表

前半、先制を目指した日本代表だったが、開始早々の4分、フィジーのキャプテンを務めるCTBワイセア・ナヤザレヴに独走トライを許し、0-7と相手に先制される。

さらに7分、日本代表FLピーター・ラブスカフニが相手への危険なタックルでレッドカード。退場処分となり、日本代表は残り約73分間を14人で戦うことになった。7月22日のサモア戦でのFLリーチ マイケルの一発退場と同じ状況に陥った。

数的不利により苦しいシチュエーションの連続となった日本代表は、17分にフィジーPRエロニ・マウィ、38分に同SHシミオネ・クルヴォリに連続トライを許し、0-21とされる。結局、前半は得点できないまま終わり、後半の反撃にかける形になった。

しかし、後半も日本代表はフィジーの独特のランニングラグビーを止めることができず、18分にはフィジーSHフランク・ロマニにトライを決められ、0-28。逆転するためには4トライ必要な状況となり、一段と苦しくなる。

流れを変えたのは、日本代表の両翼の二人のフィジアンだった。後半31分、敵陣でのマイボールスクラムからパスを受けたWTBジョネ・ナイカブラが突進し相手ディフェンスに体を当てると、一度ダウンボールしてから再び前進しインゴールへ。この試合の日本代表の初トライを決める。SO李承信のゴールも成功し、スコアは7-28。日本代表が反撃ののろしを上げる。

さらに後半37分、再び敵陣ゴール前での攻防から、SH流大がラックから左大外へパスを放つと、WTBセミシ・マシレワがインゴール左隅にダイビングトライ。12-28とさらに点差を詰める。

しかし41分にはフィジーにとどめのトライを決められ、最終スコアは12-35。日本代表はワールドカップ前国内最終戦を勝利で締めくくることはできなかった。

パシフィックネーションズシリーズ3連戦は1勝2敗、オールブラックスXVとの2連戦(うち1試合はJAPAN XVとして対戦)も含める1勝4敗という結果で終えた日本代表は、ワールドカップ前に様々な課題が浮き彫りになった。

トライ寸前まで迫るランを見せた日本代表CTB長田智希

試合後、日本代表ジェイミー・ジョセフHCは記者会見で、

「(FLラブスカフニのレッドカードについては)しっかりとルールにアジャストしていかないといけないと考えているので、ネガティブには考えていない。彼は経験のある選手で、新しく入ったばかりの選手ではありません。彼にも言いましたが、テクニックの部分はしっかりとやっていかなければなりません。ですから解決策はシンプルだと思っています。ですからレッドカードか、イエローカードか、ということにフォーカスするのではなく、自分たちはこれから先に進むことを考えていかなければならないと思っています」

とあくまでも前を向いた。

共同キャプテンを務めたNO8姫野和樹は、

「リーダーとして責任を感じていますが、まだイタリア戦もある」

と8月26日のイタリア戦とワールドカップ本番に向けた準備に集中する姿勢を見せた。

日本代表は8月15日にワールドカップへの登録選手を発表し、短期間の合宿を経てまずはイタリアに渡ることになる。修正すべき点を修正し、大会本番にピークを迎える。そんな成長ぶりに期待したい。

取材・撮影・文/齋藤龍太郎(楕円銀河)

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