2023年7月22日(土)、日本代表は「リポビタンDチャレンジカップ パシフィックネーションズ」でワールドカップイヤー初となるテストマッチを迎えた。相手は9月28日(日本時間29日)にラグビーワールドカップで対戦するサモア。本番での戦いを前にそれぞれの力量やスタイルをお互いに知ることができる大きな意義のある試合が、北海道・札幌ドームで行われた。
日本代表は共同キャプテンのHO坂手淳史、FL姫野和樹を筆頭に、第二の故郷である札幌での試合に燃えるNO8リーチ マイケル、WTB松島幸太朗、FB山中亮平ら前回ワールドカップメンバーに加え、この試合が代表初キャップのLOアマト・ファカタヴァ、WTBジョネ・ナイカブラ、リザーブから出場すれば初キャップとなるFL福井翔大、CTB長田智希らが名を連ねた。
サモア代表は元オーストラリア代表で日本でのプレー経験も豊富なSOクリスチャン・リアリーファノらが先発し、リザーブに元ニュージーランド代表で2015年のワールドカップ優勝メンバーのPRチャーリー・ファウムイナらが控える豪華な布陣で試合に臨んだ。
前半開始早々6分、敵陣ゴール前まで迫った日本代表はFL姫野らが前進を試み、相手がノックオンしたボールを拾い上げたLOファカタヴァが、TMOの末に代表初トライ。SO李承信のゴールも成功して、日本代表が7-0と先制に成功する。19分にはSO李がPGを決めて10-0とリードを広げる。
前半25分にサモアSOリアリーファノがPGを決めて10-3となった直後の30分、日本代表NO8リーチ マイケルが危険なプレー(ハイタックル)でレッドカードを出され、残り約50分間を14人で戦うことになる。数的不利となった影響もあり37分にはサモアFLアラマンダ・モトゥガにトライを決められ、10-10と追いつかれたところで前半終了を迎える。
後半、確実に得点を積み上げていきたい日本代表は2分、7分とSO李がPGを決めて16-10と勝ち越しに成功したものの、直後の8分には日本代表FB山中のキックをチャージしたサモアSHジョナサン・タウマテイネがインゴールに転がったボールを自ら押さえてトライ。SOリアリーファノも難しい角度からゴールを決めて16-17とサモアに逆転を許す。
日本代表は17分、21分と再びSO李が連続PGを決めて22-17と再逆転したものの、23分にサモアWTBトゥムア・マヌのトライで22-22の同点に追いつかれると、SOリアリーファノのゴールで22-24と逆転される。その後もチャンスを作った日本代表だったがアタックにおけるミスやペナルティが響き、最後まで追加点を奪えず22-24で敗れた。
なお、途中出場を果たしたFL福井翔大とCTB長田智希は日本代表初キャップを獲得した。
試合後の記者会見で、日本代表のジェイミー・ジョセフHCは、数的不利となった状況を嘆きながらも前向きな要素を挙げた。
「結果は残念です。やはり1人(レッドカードで)いなくなってしまうと試合は難しくなってしまいます。非常にクオリティの高いチームと戦っていくうえで(このような状況に陥ると勝つのは)なかなか難しいです。
そうなった時にどのように対応していくのか、どのようにチームとして話していくのかということが自分としてはすごくポジティブ(な教訓)だったと思っていますし、最後は勝てそうなところまで行けたところ、アンラッキーだった点も含め、ポジティブなところはしっかりと活かしていきたいです」
共同キャプテンのHO坂手淳史は、試合全体に加えてスクラムにも言及した。
「結果は悔しいですし、チームとしてもがっかりしています。振り返るとすごく難しいゲームでした。ただ、14人になった時に全員が『セイム・ページ』、同じ画を見続けられる時間帯もありました。そこでミスもあったのですが、エナジーを落とさずに戦い続けることができたことはこれから(の戦い)につながる部分もあると思っています。
スクラムの修正に時間がかかったことも課題です。後半にはうまく修正できたのですが、もっと早く修正する必要があると考えています」
ワールドカップではマストウィンの相手、サモアに惜敗した日本代表は、7月29日(土)に大阪・東大阪市花園ラグビー場でトンガ代表と対戦する。
取材・文・写真撮影/齋藤龍太郎(楕円銀河)