ワールドカップイヤーのジャパンの初陣、リポビタンDチャレンジカップ2023の幕開けだ。
6月12日から浦安で始動し、また7月からはおなじみ宮崎の地でハードな合宿に臨み、9月開幕のラグビーワールドカップへの準備を進める日本代表。その今年の初陣となった7月8日、日本代表は「JAPAN XV(ジャパン・フィフティーン)」としてニュージーランド代表予備軍の「オールブラックスXV(フィフティーン)」激突した。東京・秩父宮ラグビー場には22,283人ものファンが詰めかけ、勝利への期待を膨らませた。
なお、今回、JAPAN XVはFLリーチ マイケル選手と、リザーブのSH流大選手が共同キャプテンを務め、チームをまとめ上げる役目を担った。
キックオフ前にオールブラックスのハカである「カ・マテ」を披露しファンを沸かせたオールブラックスXVに対し、前半5分、JAPAN XVはSO松田力也のPGで3-0と先制に成功する。しかし、オールブラックスXVは前半15分の敵陣でのスクラムを起点に仕掛けると、代表経験者のSOスティーヴン・ペロフェタがインゴールまで走り切り、トライ。JAPAN XVは3-5と逆転を許す。
前半19分にもSOペロフェタがPGを決めてオールブラックスXVが3-8とリードを広げると、JAPAN XVは23分にSO松田が2本目のPGを決め、6-8と2点差に迫る。逆転を目指したJAPAN XVに対し、オールブラックスXVはSOペロフェタがPGを1本外したものの、前半終了間際の42分にPGを追加した6-11し、前半終了を迎える。
わずか5点のビハインド。JAPAN XVにも勝機があるかに見えたが、後半に入るとオールブラックスXVが試合の主導権を握る。まずは5分、SOペロフェタのPG成功で6-14とリードを広げられると、15分にはオールブラックスXVが自陣からアタックを仕掛け、右大外を大きく抜け出したWTBベイリン・サリヴァンからの内に返すラストパスを受けたNZ代表18キャップのCTBジャック・グッドヒューがトライ。6-21とリードを15点に広げる。
さらに22分、オールブラックスXVは敵陣でのマイボールスクラムを起点に仕掛け、一時はパスが乱れながらも、FLビリー・ハーモンがキックを織り交ぜながらボールをキープすると、最後はFBルーベン・ラヴからのラストパスを左大外でキャッチしたWTBエテネ・ナナイセトゥロがトライ(6-26)。27分には再びWTBベイリン・サリヴァンのラストパスからCTBアレックス・ナンキヴェルがトライを決めると、ホーンが鳴った後の後半41分は途中出場のSHフォラウ・ファカタヴァが鋭いステップでインゴールまで切り込み、とどめのトライ。
後半4連続トライ、計5トライを決めたオールブラックスXVに対し、JAPAN XVは6-38で完敗。満員の秩父宮ラグビー場はため息に包まれた。
試合後、JAPAN XVのジェイミー・ジョセフHCは、試合後の記者会見でこのように語った。
「率直に残念だと感じています。こういうチームを(ベストの状態に)戻していくのは時間がかかると思っています。(6月から)ここまで合宿をしてきましたが、実際の試合は長い間やっていません。しっかりとしたチーム作りをワールドカップに向けてやっていくことは非常に大事だと考えています。
そんな中、若く新しい選手たちを試すことができました。特にFL福井翔大にとっての(代表レベルで)最初のゲームでオールブラックスXVを相手に非常にいいパフォーマンスを見せてくれました。こうしたポジティブな部分もあれば、課題もまだまだたくさんあると思っていますので、来週それを修正できるように頑張っていきたいです」
また、共同キャプテンを務めたFLリーチ マイケル選手は神妙な面持ちでコメントした。
「負けは負けなので、この結果を認めないといけないと思います。ジェイミーが言ったように新しい選手も増えましたが、ジャパンの強みをどうやって出すかを考えていかなければならないと思います」
7月15日(土)には熊本・えがお健康スタジアムに舞台を移し、「日本代表」として再びオールブラックスXVと対戦する。新ジャージーでの初戦となる大事な試合で、ジョセフHCの言葉どおり「課題を修正し」、勝利をつかむことができるか。軌道修正とさらなる成長を期待したい。
(取材・文・写真撮影/齋藤龍太郎)