サクラセブンズ(女子セブンズ日本代表)がセブンズワールドシリーズ2017-
最近、南アフリカを相手に日本代表が偉業を成し遂げるケースが多いように感じます。…というのはもちろんこじつけなのですが(リオ五輪のセブンズでは男子日本代表が3位決定戦で南アフリカに14-54で敗れました)、願掛けのようにこじつけたくなるのが明日の試合、スーパーラグビー・サンウルブズvsブルズの一戦です(4月8日[土]14時15分・秩父宮ラグビー場)。
サンウルブズはスーパーラグビー(ニュージーランド・オーストラリア・南アフリカ・アルゼンチン・日本の計18チームで行われている世界最高峰リーグ)参戦2シーズン目。ラグビー日本代表の強化を目的に設立され、今年はより一層代表とリンクしながら強化が進められています。今季第5節までの成績は0勝5敗(勝ち点1)。アタック面では世界と対等に渡り合えるようになってきたものの、失点が多くディフェンスに課題を残しています。
ブルズは南アフリカのスーパーラグビーチームでは唯一優勝経験がある強豪です。それも3回優勝しています(2007、2009、2010年)。ただ、近年はプレーオフに絡む回数が減り、4度目の王座を狙う今季も1勝4敗と振るいません。しかもその1勝は第4節でサンウルブズから得た白星(34-21)。アウェーと言えどもサンウルブズは落としたくない相手でしょう。もっとも、主力中の主力であるLOルード・デヤハー、SOハンドレ・ポラード、FBジェシー・クリエルらを休ませたところを見ると(南アフリカ代表候補選手を休ませる目的とはいえ)余裕がありそうですが…。
そんななか、試合会場の秩父宮ラグビー場で行われた両チームのキャプテンズラン(キャプテン主導で行う試合前日練習)。時間の関係でブルズは取材できませんでしたが、サンウルブズは冒頭15分間の写真撮影と(以後は撮影禁止。見るだけならOK)と終了後の囲み取材を行ってきました。
フィロ・ティアティアHC、SH田中史朗選手、FB松島幸太朗選手の声をお伝えします。
■フィロ・ティアティアHC
──ブルズ戦に向けて。
「ホームの秩父宮ラグビー場に戻ってこられたことをとてもうれしく思います。選手もホームでの試合にエキサイトしています。バイウィーク(休養週)で選手はリフレッシュできたので、試合を心待ちにしているところです」
──FB松島ら初出場の選手に期待していることは?
「松島はサンウルブズのジャージーを初めて身にまとって戦います。サンウルブズは2シーズン目を迎えたばかりなので、この最も素晴らしいコンペティションに入れることを特別なことだと感じてほしいと思っています」
──初勝利のポイントは?
「勝てる可能性がある試合が続いていると思います。我々はレビューして試合を振り返っていますが、特にラスト15~20分に重要な場面でミスが起こってしまうという試合が多い。それを把握したうえで80分間いいプレーを続けることが重要になってきます」
■第2節キングズ戦以来の出場となるSH田中史朗選手
──久しぶりの出場です。
「楽しみですね。サンウルブズの試合は(休養中も)ずっと見てきましたし、まだ1勝もできていませんが、日本でたくさんの応援をいただく中で試合ができる喜びを感じながらプレーしたいと思います」
──自身の役割は?
「やはりFWに声をかけてFWを動かしてしっかりディフェンスで相手を止めること。そして自分のテンポと判断でトライを獲ることを意識したいと思います」
──勝負のポイントは。
「相手はFWもBKも強い選手が多いので、しっかりディフェンスして点を獲られないようにして、こちらはペナルティーから得点を重ねて僅差で勝つ。というのが僕の中のストーリーです」
■元レベルズでサンウルブズでは初出場となるFB松島幸太朗選手
──サンウルブズ初先発です。
「いつも通りのプレーができればいいと思います」
──惜しい試合が続いています。
「仕留め切れる場面が多かったですが、そこで簡単なミスが出たので、そこで獲り切れるようにしていきたいです」
──チームをどう活性化したいですか?
「僕は常にラインブレイクを狙ってきたので、ラインブレイクすることでチームに勢いをつけたいです」
──明日の勝利のポイントは?
「やはりキックの使い方と、相手が疲れてきたところで自分たちがどれだけ走れるかですね。そこで楽な選択をするのではなくて、(状況が)厳しくてもトライまで持っていけば勝てると思います」
──サントリーのチームメイトであるFB江見翔太選手の活躍を見ていて。
「江見はサントリーでは見たことがないような活躍でした(笑)」
──合流してコミュニケーションの面はどうですか?
「ほとんど知っている選手なのですごくわかりやすい(意思疎通しやすい)です」
経験豊富な両選手は落ち着いています。そして「こうできれば勝てる」というビジョンがはっきりしているように感じられました。やはりこうした要のポジションには経験値が高く安定感のある選手が欠かせません。
なお、この試合を欠場したNO8ヴィリー・ブリッツ選手は母国の南アフリカに帰国しています。キャプテンズランが行われた4月7日、最愛の父の葬儀が営まれたのだそうです(ティアティアHCが明かしました)。これまでまさに獅子奮迅の活躍をしてきたブリッツ選手にとっても、チームにとっても悲しい出来事を乗り越えて、大事な一戦に臨みます。
今季初勝利、そして南アフリカ勢から初白星を目指し、サンウルブズは出陣します。
<取材・文・撮影/齋藤龍太郎(楕円銀河)>