「リポビタンDチャレンジカップ 2022」日本代表vsウルグアイ代表の第2戦が、6月25日(土)ミクニワールドスタジアム北九州(福岡県北九州市)で開催された。第1戦はNDS(ナショナル・デベロップメント・スコッド)のメンバーからセレクトされた日本代表だったのに対し、第2戦は当初から宮崎で合宿していた(一部NDSからの途中合流や昇格あり)正代表メンバーで臨んだ、いわば「宮崎合宿組」の今年の初陣となった。
HO坂手淳史主将にとっては日本代表キャプテンとしての初戦となり、先発WTBゲラード・ファンデンヒーファーはこれが初キャップ(リザーブのLOサナイラ・ワクァ、SO李承信も途中出場し初キャップに)。SO山沢拓也やCTB梶村祐介らにとっては久しぶりのテストマッチとなったほか、ベテランHO堀江翔太もラグビーワールドカップ2019以来3年ぶりの代表復帰戦となった。なお、当初17番に入っていたPR森川由起乙も出場すれば初キャップだったが、直前のケガにより外れ、代わりにNDSから昇格したPR三浦昌悟が第1戦に続いてリザーブに登録された。
前半、第1戦の悔しさを晴らしたいウルグアイを寄せ付けないアタックとディフェンスを序盤から見せた日本代表は、開始早々の5分、敵陣5mラインでのラインアウトモールからHO坂手淳史がインゴール右隅に飛び込んで先制トライ。その後、新司令塔として注目されたSO山沢拓也が9分、16分、23分と3本連続でPG(ペナルティゴール)を決めて14-0とリードを広げる。
さらに38分、ウルグアイがこぼしたボールをCTB梶村祐介が前方へ蹴り、そのボールに向かって走り込み最後に追いついたCTBディラン・ライリーがトライ。19-0と日本代表が大きくリードしたところでハーフタイムを迎えた。
後半も日本代表の勢いは止まらない。10分、敵陣でのラインアウトを起点にモールで前進し、FLベン・ガンターがトライを決める(24-0)。直後の15分も敵陣ゴール前のモールからHO坂手、SH齋藤直人とパスが渡り、そのラストパスを受けたWTBファンデンヒーファーが代表初トライを決め、29-0とさらにリードを広げる。
後半21分には相手のインテンショナルノックオン(ウルグアイFLサンティアゴ・シベッタがシンビンとなり10分間の一時的退出)で日本代表にペナルティトライが認められ、スコアは36-0に。23分にはNO8ファウルア・マキシが相手ディフェンスを突破しビッグゲインすると、パスを受けたCTB梶村祐介が代表初トライ。途中出場のSO李がゴールを決めて43-0とする。
29分にはPR稲垣啓太が危険なプレーでシンビンとなるなど規律の面で乱れると、34分にウルグアイNO8マヌエル・アルダオが第1戦に続きトライを決める。それでも最終的には43-7の大差で日本代表が勝利し、ウルグアイとの2連戦で連勝を飾った。
日本代表は44時間かけて来日し、最後まであきらめずに奮闘したウルグアイを称えることを忘れなかった。恒例となっている、対戦相手の最優秀選手に贈呈する「ソード」がHO坂手主将からウルグアイCTBアンドレス・ビラセカ主将に手渡され、互いに健闘を称え合った。
試合後の記者会見で、日本代表ジェイミー・ジョセフHCは、
「長い間ラグビーができていなかった我々(宮崎合宿組)の(今年)最初の試合としては、いいスタートになったと思います。新しい選手も入り、新しいリーダーグループのもと、いいスタートを切ることができました。試合は(終始)リードし続け、いい展開に持ち込むことができましたが、ウルグアイも強く、タフな試合となりました。(ペナルティの多かった)後半ラスト20分についてもイエローカードが出た点などを踏まえ、今後のティア1チームとの対戦に向けて修正していきたいと思います」
と収穫と課題を示し、中心的役割を担ったSH齋藤、SO山沢のハーフ団についても、
「大きな可能性がある選手たちだと思っています。齋藤はラインアウトなどでプレッシャーがかかる中で試合をしっかりコントロールしていました。山沢はもっと経験を積んでほしいですが、最初の試合としてはよかったと思います」
と一定の評価をした。
キャプテンとしての初戦となったHO坂手主将は、
「ペナルティが多かったです。それにより相手を勢いに乗せてしまい、アタックをさせてしまいました。ただ、宮崎合宿からずっと取り組んできたディフェンスについては手応えがありました。早くセットして前に出るディフェンスができたと感じています。コミュニケーションをさらに上げていけばもっとよくなると思いますし、ペナルティをもう少し減らしていけば相手にもっとプレッシャーをかけられたと思うので、これから修正していきたいと思います」
と語り、7月2日・9日のフランス戦に向けて修正すべき点を胸に刻んだ。
5年ぶりの日本代表復帰を果たし、試合を動かしたSO山沢は、
「ちょっと緊張はしましたが、自分がやるべき仕事はそれなりにできたと思っています。1試合を通して敵陣でプレーし続けることができ、自分たちの規律(のほころび)により自陣でプレーする時間帯もありましたが、失点は少なく抑えられましたし、スタートしてはよかったと思っています。キックでエリアを取っていくプレーは自分がやりたいプレーでもあり、エリアを取ることでチームに勢いを与えられると思っていますので、その点でチームに貢献できればいいと考えていました。いくつかミスはありましたが、敵陣でプレーする時間が比較的長くなったので、その点では貢献できたと思っています」
と充実感をにじませた。
日本代表は7月2日(土)に豊田スタジアムで、9日(土)に国立競技場で世界ランキング2位のフランスと対戦する。
取材・文・撮影/齋藤龍太郎(楕円銀河)