今年もWOWOWが全試合生中継で放送しているラグビー欧州6カ国対抗戦 シックス・ネーションズ。2月10日には第2節を迎え、第1節で快勝したチーム同士による注目のカード、イングランド対ウェールズ戦に日本代表のSH(スクラムハーフ)田中史朗選手、LO(ロック)真壁伸弥選手がゲスト出演。先月、現役引退したばかりの元日本代表キャプテン菊谷崇さんとともに初の“トリプル解説”で熱戦をお届けした。
注目はやはり、その全員が直接指導を受けたエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)率いるイングランド。今大会3連覇を狙う世界ランキング2位の強豪が、ホームの聖地トゥイッケナム・スタジアムでウェールズを迎え撃つ形となった。
試合はキックオフ早々の前半2分、イングランドCTB(センター)オーウェン・ファレルの絶妙なグラバーキックにWTB(ウイング)ジョニー・メイが反応し、インゴール直前でボールに追いついてトライ。5-0とした後、19分にもメイが連続トライを決めて12-0とリードを広げる。ウェールズは前半23分、後半36分にPGを成功させ12-6と迫ったものの一歩及ばず、イングランドが開幕2連勝。3連覇へと一歩近づいた。
解説を終えたお三方に、シックス・ネーションズの見どころや優勝予想などをうかがった。
■強いイングランドとアイルランド…優勝予想は全員一致!
──試合を振り返って、現役選手のお二人が注目したのはどのあたりでしょうか?
田中 組織としてしっかり成り立っているところですね。特にイングランドのディフェンスはひとりひとりの仕事が明確でした。ジャパン(日本代表)もサンウルブズ(スーパーラグビーの日本チーム)もそこを目指してやっていますので、もっともっと試合を見て学ばないといけません。
真壁 イングランドが23人の組織としてしっかり戦っているところは、僕たちがエディーから習ってきたことと被さって見えました。スターターにはスターターの、リザーブにはリザーブの仕事があり、全員それを全うしていますね。
──第3節以降で注目したいチームやカード、優勝予想をお教えください。
菊谷 僕は最終節(3月17日)、イングランドとアイルランドが全勝対決でぶつかったらおもしろいと思っています。アイルランドは第4節までホームゲームが続きますし、現在すごくいい状態です。イングランドも昨年同様、順調に行けば全勝で最終節にアイルランドをホームに迎えるでしょう。その試合が一番の見どころです。そしてアイルランドが優勝すると予想しています。
真壁 ヨーロッパの戦い方はどの国も似ていて、フィジカル面やセットピースに重きを置いています。そこに対してどう戦うかですが、たとえばスコットランドは比較的パスを回し展開するチームですし、今日のウェールズもラスト10分間ではかなりパスを回していましたので見ていておもしろいです。その点ですごくバランスが取れているのがアイルランドですね。僕はアイルランドが優勝すると思っています。
田中 一緒だから変えた方がいいのかな…(笑)。でも、僕も優勝予想はアイルランドですね。インパクトのあるプレーヤーがいっぱいいるわけではないのですが、一つ一つの仕事をきっちりやるチームです。イングランド以上に組織としてしっかりまとまってプレーできています。(昨年6月に日本代表として対戦して)それを肌で感じましたので、2019年のワールドカップで対戦する彼らを崩すにはもっと個人を高めて、チームとしても成長していかないと太刀打ちできません。第3節以降も引き続きアイルランドに注目していきます。
■シックス・ネーションズは若い選手たちにとっても勉強になる!
──11月に日本代表と対戦するイングランドですが、その戦いぶりからエディーさんらしさや意図が感じられた場面はありましたか?
田中 細かいことですが、ブレイクダウンでクリーンアウトするときにしっかり相手を待ったり、ラックに入り過ぎないようにしているのはエディーの指示だと思います。しっかりコーチングされていますね。
真壁 チームのカラーを見て教え方を変えているところです。イングランドに合った指導法をしているのだと思います。日本代表では「ピッチに寝たら何秒以内に起き上がる」ということを徹底しました。イングランドもやってはいると思うのですが、また質が違う感じがしました。
菊谷 フミ(田中選手)が最初に言ったようにディフェンスですね。日本代表でもなるべく14、15人がグラウンドに立った状態でディフェンスをするよう指導を受けましたが、イングランドも同じようにディフェンスしています。エディーがワールドカップで優勝を狙いに来ているのがはっきり見えますね。
──そのあたりも踏まえて、あらためてシックス・ネーションズの魅力はどこにあると感じますか?
真壁 ラグビーをあまり知らない方には、シックス・ネーションズのフィジカルの部分をしっかり見てほしいなと思います。肉弾戦が多いのがヨーロッパの特徴なので、「ラグビーは格闘技なんだ」というところを見ていただきたいです。
田中 北半球はセットピースが中心になっていますが、イングランドはそれが変わってきて、エディーのラグビーになっています。昔みたいにそこにこだわっていないので、少しずつ変わってきているのではないかなと思います。
菊谷 決して派手なプレーが多いわけではないのですが、ワンプレーの重みが大きいですね。ペナルティゴールの3点、スクラム、ラインアウト、キックなどでいかに堅実なプレーをやり続けるか。その点で勉強になりますし、見どころも多いと思います。若い選手はどうしても南半球のラグビーを見がちですが、北半球の方が勉強になる試合が多いと思いますよ。
今年6月にはイタリアと、そして11月にはイングランドと対戦し、さらに来年のワールドカップ日本大会ではアイルランドとスコットランドとの対戦が決まっている日本代表。その中心選手である田中、真壁両選手にとって、シックス・ネーションズは恰好の教材だ。世界中のラグビーファンやプレーヤーを魅了し続けているシックス・ネーションズは、第3節以降も激闘の数々がその長い歴史に刻まれていくことだろう。
◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆
★「ラグビー欧州6カ国対抗戦 シックス・ネーションズ」
ラグビー欧州最強を決める戦い、3/17(土)まで全試合を生中継!
第3節:
フランスvsイタリア 2/24(土)午前4:45~ [WOWOWプライム]
アイルランドvsウェールズ 2/24(土)夜11:00~ [WOWOWライブ]
スコットランドvsイングランド 2/24(土)深夜1:30~ [WOWOWライブ]
第4節:
アイルランドvsスコットランド 3/10(土)夜11:00~ [WOWOWライブ]
フランスvsイングランド 3/10(土)深夜1:30~ [WOWOWライブ]
ウェールズvsイタリア 3/11(日)夜11:50~ [WOWOWプライム]
最終節:
イタリアvsスコットランド 3/17(土)夜9:15~ [WOWOWライブ]
イングランドvsアイルランド 3/17(土)夜11:35~ [WOWOWライブ]
ウェールズvsフランス 3/17(土)深夜1 :50~ [WOWOWライブ]
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